不動産投資の必要経費と確定申告について
不動産投資の必要経費
不動産投資の必要経費とは、基本的に不動産投資にかかった費用のことです。ですから、私用で使った車のガソリン代は必要経費になりませんが、物件を管理するためや不動産会社との打合せのために使ったガソリン代は必要経費になります。このように、同じガソリン代でも「何のために使ったのか」で必要経費になるケースとならないケースがあります。
では、具体的に不動産投資の必要経費とはどのようなものなのでしょうか。下記に列挙していきます。
【税金】
購入時にかかる登録免許税・印紙税・不動産取得税、毎年納める固定資産税・都市計画税は、経費として認められます。また、自動車税も必要経費として認められます。所得税・住民税・法人税などは必要経費としては認められないので覚えておきましょう。
【修繕費】
投資物件の維持管理や原状回復にかかった修繕費は、「必要経費」として認められます。しかし、物件の機能を向上させる修繕行為は必要経費として認められません。固定資産の追加支出(減価償却資産の「資本的支出」)として計上し、減価償却していくことになります。
具体的には外壁の塗装や劣化・損傷した設備の修繕・交換などは必要経費として認められますが、新たにスロープを設置したり、手すりを取り付けたりといったことは機能向上のための費用とみなされ、固定資産として計上することになります。
【減価償却費】
建物など経年で価値が目減りしていく減価償却資産は、購入にかかった費用を一括ではなく、耐用年数に振り分けて経費計上ができます。これを減価償却費と言い、実際に現金を減らすことなく帳簿上「必要経費」として計上できるため、節税効果の高い費用とされています。
【保険料】
火災保険や地震保険などの保険料も、必要経費として認められています。
【管理費】
管理を委託している不動産会社に支払う管理費用も、必要経費として認められます。
【入居付けの費用】
「入居付けの費用」とは、入居者募集のための広告宣伝費などです。入居付けを不動産会社に依頼(仲介)している場合は、その不動産会社に支払う費用になります。費用名目は、不動産会社ごとにいろいろあります。
【不動産の情報収集・勉強のための費用】
不動産投資の情報収集や勉強のために買った新聞代・書籍代、セミナー受講費用なども、必要経費として認められます。しかし、資格取得費用は、「個人の能力向上のため」との判断から、不動産関連の資格であっても必要経費として認められません。
【交通費】
業務に関連する交通費は、経費として認められます。公共交通機関を利用した場合は、領収書の代わりに明細が分かる「旅費精算書」を作成しておきます。
【ローン金利】
不動産投資ローンの「支払利息」は必要経費として認められています。しかし元本は必要経費にならないので注意しましょう。なお、対象となるのは、建物取得分についてのみで、土地取得費用については計上できません。
【その他】
不動産取得時に登記手続きを依頼した司法書士や税務を依頼した公認会計士(税理士)に対する報酬も、必要経費になります。
不動産投資の確定申告
不動産投資で利益が出た場合、必ず確定申告しなければいけないわけではありません。給与所得および退職所得以外の所得が20万円を超えた場合、確定申告をする必要が出てくるのです。この場合の不動産所得は総収入金額から必要経費を差し引いた額になります。
ですから、給与および退職金以外の所得が20万円を1円でも上回れば確定申告をしなければならないということになります。ただし赤字の場合は、確定申告することで最長3年間損失の繰り越しができ、将来黒字になったときに節税につなげることができます。なので、利益が出ない場合でも確定申告をすることをおすすめします。
【白色申告とは】
単式簿記で確定申告を行う確定申告方法です。白色申告は、申告書の記入や確定申告の手続きが簡単であることがメリットになっています。
【青色申告とは】
青色申告では、必要な帳簿の種類と記帳の仕方が白色申告よりも複雑になります。事前に(青色申告をする年の3月15日まで)、「青色申告申請承認書」を税務署に提出する必要があるなど、手続きが白色申告と比較して煩雑ですが、以下のようなメリットがあります。
〈青色申告特別控除〉
青色申告で確定申告した場合、最大65万円分の特別控除を受けることができる(事業的規模と認められた場合)。
〈純損失の繰り越し控除〉
青色申告で確定申告した場合、3年間赤字を繰り越すことができる。
〈青色事業専従者給与〉
青色申告で確定申告した場合、家族への給与も経費にすることができる。
不動産投資が「事業的規模」の場合
アパート・マンション経営で、賃貸住戸が10戸以上ある場合や貸家が5棟以上ある場合などは、投資が「事業的規模」であると認められます。不動産投資が事業的規模であると認められた場合、以下のメリットがあります。
・最大65万円の青色申告特別控除が受けられる
・不動産の取り壊し等による資産損失を全額必要経費として計上できる
・賃料回収不能になった場合、貸倒要件を満たせば貸倒金を必要経費(貸倒損失)として計上できる
・家族への給与支払いがある場合、青色事業専従者給与または白色事業専従者控除の適用を受けることで必要経費として計上できる
・個人事業税は課税されるが、その分は必要経費に計上できる
最初からこの規模で投資を始めることはあまりありませんが、知識として覚えておきましょう。
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